【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
「怖がらないで……。私、光弥が好きだ
から。一番、好きだから」
誰よりも好きなんだよ。
光弥が消えちゃったら、私はきっと、狂
ってしまう。
光弥を抱き締める腕に力を込めれば、ふ
、と光弥が小さく笑った。
「……バーカ。怖がってなんか……ねぇ
よ」
嘘つき。
そんなこと言って、震えてるくせに。
ただの、強がりなくせに。
本当は怖いくせに。もう何にも……。
失いたくないくせに──。
私だってもう、何も失いたくない。目の
前で大切なモノを失って、絶望するのは
もう沢山だ。
私は光弥と抱き合いながら、すっと目を
閉じた。
目を閉じれば、スッと浮かんでくる、あ
の出来事。
今でも覚えてる、あの悪夢のような、出
来事──。