【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済




そうだ。

あんなの、俺じゃない。



女に怯えて、女に従う、──哀れな人間




そんなの俺じゃない──俺だって、認め
ねぇ。



夏希がちょっと小首を傾げて、微笑む。



「強がっちゃって。どう足掻いたって、
私に従う日向が、本当の日向。臆病な日
向が、本当の日向よ」



そうやって彼女は、俺が必死で張ってい
た虚勢を、容赦なく崩そうとする。



俺が信じこもうとしている、強い俺を、
そんなのは俺じゃないと、否定してくる




お前は臆病なんだと、俺が逃げ続けてい
るその事実を、突きつけてくる。



「俺は臆病なんかじゃ──」

「本当に?」




遮った声には、どこか楽し気な響きが含
まれていた。








< 335 / 427 >

この作品をシェア

pagetop