【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
胸の中に、モヤモヤした塊みたいなのがわきあがる。
意味、わかんない。
やるせない苛立ちを抑え込むように、ぎゅ、と手のひらに爪が食い込むほど、拳を握りしめた。
そんな夏希ちゃんの言葉の真意を探ろうとして
──見てはいけないものを見た。
すぐにそこから立ち去れば良かったんだ。
私の視線のさき、夏希ちゃんが、グッと爪先で立って光弥の唇に。
──自分の唇を、重ねた。
「……っ!!」
「やめろっ!」
光弥が夏希ちゃんを突き飛ばしたから、二人はすぐに離れた。
だけど、その衝撃のあまり、手からハードルが抜け落ちる。