【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
どれくらい走っただろう。
息を切らして、ひたすらに、手足をもがくように動かして。
前もみずに、ただ走っていたから。
ドンッと誰かにぶつかった。
その勢いでしりもちをついたけど立ち上がる気力も残ってない。本当は、ぶつかってごめんなさいって謝らなくちゃいけないのに、その気力さえ残っていなくて。
ぎゅ、と唇を噛み締めた。
──もう、ヤダ。
なんで逃げ出したんだろう。他にも、方法はいくらでもあったのに。
情けない。