【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
ズンズンと歩いていく光弥に着いていくのに必死だった。
「ね、光弥……」
さっきまでは光弥に怒りと、絶望にさえ似た感情を持っていたハズなのに。
どうしてだろう?
いまは、光弥が怖くて堪らない。
光弥の笑顔が見たくて堪らない。
光弥は黙ったまま本部まで行くと、待機している救護係の先生に話しかけた。
「すんません。コイツ、具合悪いみてーなんで
一緒に早退します。俺、家近いんで」
「おおそうか。悪いな。椎名、お大事にな」
「……はい」
こっちに目線を寄越した先生に、頷く。否定するのは許されないような雰囲気だったから。
……具合なんか、悪くないのに。