【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
恐る恐るそちらを見上げれば、そこには想像通りの姿。
そこには、天使のように微笑んだ夏希ちゃんがいた。
じわり、と滲む冷や汗。
夏希ちゃん程の人気者ならここ以外にもいっぱいあるのに。どうしてここなの?
もやっ、としたものが心の中に燻ぶる。
夏希ちゃんと光弥のあの現場を私が見たことを。
夏希ちゃんは知ってるハズなのに。
──どうして私なの?
私のこと、好きじゃないよね?私といたって楽しくないはずでしょう?
見れば何故だか、朝田君も浮かない顔で。
「ね、ダメ?」
えもいわれぬ雰囲気が辺りに立ち込めるのも気にせず、可愛らしく夏希ちゃんが小首を傾げる。
──あ、ダメだ。