【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
★痛む胸
───7月上旬。
ジリジリと、容赦なく私達を照らしてく
る太陽。
焼けるような暑さが、私達を襲っていた
。
「あつ……」
授業中。
あまりの暑さに、集中力なんて最早、無
いに等しいこの状況。
下敷きで自分自身をパタパタと仰ぎなが
らそう呟くと、隣でノートをとっていた
圭君が微かに笑った。
「一応扇風機付いてるでしょ?」
そう言う圭君の目線は、教室の四ヶ所に
設置された扇風機へと向けられる。
「付いてる……けど…」
ちらっと上を見上げる。
扇風機は付いてるし、回ってるけど……
風が!!!
風が来ないんだよぉ~!
風が来ないんじゃ、こんなのただの役た
たず。ただのガラクタ。
クーラーだって設置されてるんだからつ
けてくれればいいのに、節電とか言って
つけてくれない。
じゃあ何のためのクーラーなの!