【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
☆迫られるkiss
───放課後、千夏とバイバイをして、
家に直行する。
そんな私の頭の中は、今日の献立で埋め
尽くされていた。
ていうか毎日、帰宅途中の頭の中には、
常に献立でいっぱいだ。あと、冷蔵庫の
中身。
今日は、煮物と、お味噌汁と……。あと
、卵でなんか作ればいいか。
思考が完璧主婦になってしまって、女子
高生としてはあまりにも虚しい。という
か、女子力がただでさえないのに、更に
低くなってる気がする。
……いや、料理上手ということにして、
女子力アップだと言い聞かせてるけど。
「ただいまー」
ガチャリとドアを開けて、靴を脱いで、
そう言う。
返事が帰ってこないのと、靴がないこと
から、光弥はまだ帰っていないらしかっ
た。
先に光弥が帰ってると、「おかえり」っ
ていってくれるから、こんな日はちょっ
ぴり寂しい。
……って、寂しいとか、なに考えてんの
私。
「……寂しくないし……」
自分に言い聞かせるようにして呟いた声
が、いやに虚しく響いた。