キレイになったのは
あなたのために
「カオリを見たらあいつら絶対に驚くだろうな。」

ハンドルを握る手に、挟み込んでるタバコから落ちる灰を気にも止めずにトオルは笑った。

「コーコーん時のお前って、ほんっと地味だったよな。この俺だって、あっちで再会した時にはおんなじクラスに居たカオリと同一人物だなんてこれっぽっちも思わなかったしな。」

それのどこが面白かったのか、ガハハと大きな笑い声をあげるトオルに相槌を打ちたくなくて私は酔った振りをして車の窓をあけた。

少しヒンヤリとした風が私の髪を乱しながら車の中へと踊りこむ。確か同窓会の会場は、駅前のシティホテルだったっけ。電車で行く方が便利良かったのにな。あのホテルの駐車場はあまり広くないし、一体どうするつもりなんだろ。

小さくついてしまったため息をトオルに気付かれないように風に流してしまいながら、私はミラー越しにトオルを盗み見る。どうするつもりかは知らないが、トオルがどうして車で会場に向かいたがっているのかはわかってる。

自慢したいのだ。

車を。そして私の事も。
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