天神学園高等部の奇怪な面々34
リングの上では、辛うじて龍太郎が立っている。

斬られ、貫かれ、空手着はもうズタズタに裂けて道着の役目を果たしていなかった。

黒帯からも、ポタポタと血の雫が落ちる。

最早ここまで。

どんなに人間離れしたタフさを誇る龍太郎でも、これ以上は命に関わる。

「よく持ち堪えた丹下…しかし些か修行不足だったな」

翡翠が二刀の刃を返す。

流石にこれ以上の斬撃は危険と感じたのか。

最後は峰打ちの瓶覗で気絶させて終わりにするつもりらしい。

…アレを食らえば終わりだ。

如何に峰打ちとはいえ、痛烈な打撃を食らってしまえば立っていられない。

アレを食らえば負けてしまう。

何とかしなければ。

何とか。

何とか…!

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