天神学園高等部の奇怪な面々34
動かない。

己の脚が、地面に根でも張ったかのごとく動かない。

甲冑が重みを増したかのようだ。

『いや…これは甲冑ではなく…影?』

ブリュンは目を見張る。

「察しがいい…」

バルナは目を細めた。

「『影縫』…貴女の影を縫いつけて、動きを封じさせてもらいました。近づくだけでダメージを受けるのならば、近づけなくすればいい…そして…」

パチンと指を鳴らすバルナ。

同時に出現した円筒状の影が、ブリュンの身を覆いつくす。

声も、甲冑に纏った炎も、熱も、一切を閉じ込める影の監獄。

「『影牢』…これで詰み(チェックメイト)です」

宣言通りブリュンを近づけさせなくして、バルナは彼女を手詰まりにした。

< 39 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop