天神学園高等部の奇怪な面々34
天神の地は如何なる者でも、どんな種族でも受け入れる。

それに嘘偽りはない。

だがこの龍には、少々仕置きが必要だった。

佐倉の王が自ら出張るのは何十年ぶりか。

初代寒緋との連携により、佐倉の王は龍に一瞬の隙を作る。

そしてその一瞬が決定的な隙だった。

用務員と御衣黄の渾身の結界が、龍の身を縛る。

完全に動きを封じられる龍。

詫びて悔いて、大人しくすればよし。

しかし龍のひねた性根はそれを認めようとしない。

致し方なく、用務員達はこの龍を封印し、しばしの反省を促す事にした。

それも只の封印ではない。

どんな強大な力を以ってしても破れぬ『他者の血を利用した封印』。

その一族の血脈の力を使い、何百年も封じてしまうのだ。

問題はその封印する『血』。

誰がこのような凶暴な龍をその血に宿すのか。

…一人の男が名乗りをあげた。

乱暴者で知られ、怖いもの知らず、喧嘩っ早さで多くの者に嫌われた人間のゴロツキ。

その男、姓を『丹下』といった…。

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