天神学園高等部の奇怪な面々34
幻影は消え、元のリングに戻る。

寒緋と龍太郎は向き合ったまま。

客席が、審判の完璧超人さえもが言葉を失う。

「私の家に…ご先祖様にそんな事が…」

客席のスペシャルハレンチさえ、いつもの笑顔は消えてしまっている。

「知らなくて当然さ…アンタ達が生まれる何百年も前だからね」

寒緋は呟く。

「おとなしくしてりゃ、この封印は絶対に破れない。何せ用務員と御衣黄、随一の結界師二人が施した封印だからね。事実これまで、封印は堅牢なままだった…アンタの姉の方も、おかしな兆候はなかった…アンタだけさ、丹下 龍太郎…封印に影響を与えてしまったのは」

龍太郎が入学した当初、彼は潜在能力の暴走を起こしてしまっている。

あれは本当に危険だったのだ。

ただの人間たる龍太郎が、必要以上に超常の力に接触してしまった事で、封印の龍が覚醒しかけたのだ。

そして今、修行をし、数々の人外や神、魔物達との戦いを経た事で、封印は限りなく脆くなってしまっている。

< 52 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop