天神学園高等部の奇怪な面々34
…………。

無言、のち失笑。

会場のあちこちで、クスクスと笑い声が聞こえる。

客席の教頭、審判の完璧超人まで俯いて肩を揺らす。

「なっ…何が可笑しいんだてめぇっ!」

ちょっと赤面する龍太郎。

無論、寒緋も笑っていた。

「成程な…スペシャルバカと呼ばれる訳だ…」

「なにおぅっ?」

食って掛かる龍太郎。

しかし…何故か寒緋は確信が持てた。

幼き龍は、間違いなく『竜』にはなっていない。

封印された者は、その宿主に影響を受け、影響を与える。

ならばこんな真っ直ぐな単純馬鹿の中に封印された龍が、悪しき存在に成長する訳がないではないか…。

< 55 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop