天神学園高等部の奇怪な面々34
(困ったな…試合とはいえ…)

困惑するフェイレイ。

おとぎの方から仕掛けてくる気配はないし、こちらから剣を抜いて斬りかかるのは勇者の名折れだし。

何より戦意のない者に対して、フェイレイは戦いを挑むような性格ではない。

と。

「お前のそれ」

おとぎが言う。

年上のフェイレイに対してお前呼ばわりである。

「その腰の奴…抜いて見せろ」

「え?これ?この剣か?」

おとなしそうな外見の割に、刀剣に興味があるのだろうか。

おとぎに言われるまま、フェイレイは愛剣をスラリと抜いてみせる。

秋の穏やかな日差しを浴び、光り輝く剣。

「可変式でね、分割して二刀流にも出来るんだ」

自慢の愛剣を片手に語るフェイレイ。

「綺麗だな…」

見惚れるような表情で呟くおとぎ。

「それがないと、お前は困るだろうな…」

< 64 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop