天神学園高等部の奇怪な面々34
「剣なんてあるものか」

おとぎが言う。

見れば、彼女の手にある分厚く茶色い煤けた本が開いている。

「この世界に『フェイレイ=グリフィノーの可変式の剣』なんて存在しないもの。綺麗な刃だったから、私は結構好きだったけどな」

「存在…しない…?」

訝しげな表情を見せるフェイレイ。

…これがおとぎの…正確にはおとぎの本の能力。

本の中に対象の人物と自身を挿入する。

本の中の白い空間内では、想像する事によって想像した物質、魔法等が具現化される。

想像力だけ戦う様なもの。

生身以外持ち込まれた物は何の効力も発揮しない。

あくまで、想像が大切である。

細部まで想像した物の方が強い力を発揮する。

つまり。

「こんな風に」

おとぎの傍らに、突如純白の翼を持つ、一角の白馬が舞い降りた。

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