天神学園高等部の奇怪な面々34
床に叩きつけられてもまだ止まらず、翡翠の巨躯は床を滑った。

…対抗戦の時よりも、十牙の実力は上がっている。

ただ人狼の能力に頼っているだけの少年ではない。

今の彼は、希少種・紅月狼の潜在能力を最大限に生かす戦い方を心得ている。

「別に龍太郎先輩みたいに、天神最強を獲ろうなんて気まではない…だけど眼中にねぇなんて態度とられて大人しくしてられるほど俺は大人じゃねぇし、行けるとこまで行ってやろうって野心もある」

「……だろうな…」

血を滴らせながら、ゆっくりと立ち上がる翡翠。

「男子(おのこ)ならばそのような野心、あって当然…そして…」

翡翠は川蝉を構えた。

「そのような奴らの壁になるのが、我ら武闘派教師陣の務め」

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