糸を張る[イラスト付]
「関係ない……そうかな?」

「何だと!?」

くわえた葉がピタリと止まる。
刀を握った手に、力がこもる。

「ほう。叩っ斬るか? アハハハハ」

「何がおかしい? なぜ笑う?」

「おかしいじゃないか? 君は人斬りなんだろう? なぜ躊躇する。なぜ、相手を見誤る」

「見誤るだと?」

辺りには誰もいない。
人の賑わいはこの先の話だ。

「ああ、そうだ。どうしてもその勢いで金魚掬いに行くというのなら、これが火を吹くことになる」

袖の下から、スウっと銃口が覗く。

「お前が相手か?」

「これはピストールというシロモノ。君は、僕に嵌(は)められたのさ」
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