不良だらけの危険なバイトッ☆
片方のまゆを下げて困ったように笑う。
「さっき莉子ちゃんとパス練習したけど、あれは一人じゃできないでしょ」
「うん」
「一人で蹴ったら、どこか遠くにボールが飛んでいくだけ。サッカーは団体競技なんだよ」
「うん」
「だからどんなに練習を頑張っても、どんなに上手くなっても、信頼してパスを回してくれる仲間がいないとサッカーはできない」
「そうだね…」
「だから、チームメイトに信頼されないような俺にはサッカーをやる資格はないんだ」
そう言って藤堂君が見せた無理した笑顔。
それを見ただけであたしの涙は堰を切ったように溢れだした。
仲間に蹴られ、殴られ怪我をした藤堂君。
それで失ったのはサッカーというスポーツだけじゃない。
仲間を大切にしていた藤堂君の心そのもの。
「…ごめんっ…ひく…」
「莉子ちゃんが泣くことじゃないでしょ」
藤堂君がそう言って頭を撫でてくれたけど
悲しすぎる過去と現実に涙が止まらない。
辛いのはあたしじゃないのに。