不良だらけの危険なバイトッ☆
普通ならこんな時、誰よりも近くにいたい…
そう思うんじゃないのかな。
それとも…加奈子さんにも複雑な事情があるのかな。
ここに来れない何か特別な理由が…
「ん…」
顔を上げると、気づかないうちに苦しそうな表情で額に汗を滲ませているユキ君の姿が目に入った。
「ユキ君!!!」
突然の出来事にびっくりしてあたしは思わずユキ君の手を握った。
「…っはあ…」
意識はないみたいだけど、顔色がすごく悪い。
「ユキ君…っ!大丈夫!?」
声をかけても返事はない。
どうしよう…っ。
マスターはあたしに傍にいてくれって言ったけどあたしにできることなんか何もないよ…。
「ユキ君!!ユキ君っ!!」
悪夢にうなされているような状態のユキ君にあたしはただ声をかけ続けた。
「…っ。…加奈子…っ」
また、その名前…
この前とは違う辛そうな声。
でも、ユキ君はこんな朦朧とした意識の中でも間違いなく呼んだ、加奈子さんの名前だった。