不良だらけの危険なバイトッ☆
加奈子さんは今どこにいるの?
お願い、ここに来てよ。
ユキ君は加奈子さんのこと…今、誰より必要としてるんだよ。
ユキ君を助けて…
ギュッと目を閉じて、ユキ君の手を包み込むように握る。
ポタッー…
あたしの涙が一粒、握ったユキ君の手の甲に落ちた。
「…泣くなっ…」
「…え?」
涙でかすれた視界に映るユキ君は苦しそうな呼吸を繰り返すだけで。
でも…今聞いた声は、
確かにユキ君の声だった。
「ユキ君…っ?」
胸が苦しくなった。
ユキ君は意識もないはずなのに、それでもあたしの心配をしてくれた。
あたしはユキ君の役に立つどころか、逆に心配かけちゃったよ。
マスター…、ごめんなさい。
ここにいることが辛くて思わず立ち上がる。
「…っ!!」
でも、ユキ君はあたしの手を強く握って離してはくれなかった。