不良だらけの危険なバイトッ☆
「悪い…」
それだけを言って部屋を出ていく。
こんなに動揺してるユキ君は見たことがない。
それからユキ君が戻ってくるまでの10分は実際よりも何倍も長く感じられた。
「……」
時計の秒針だけが時を刻んでいく。
ガチャン…
無言のままユキ君が部屋に戻ってきた。
「あっ、おかえり」
なるべく笑って話しかけるけど、重苦しい空気、そして沈黙が流れている。
この状況から察するに…電話はいい話ではなかったのだろう。
「…」
「え…えと」
何を話しかけていいかわからないまま口ごもるあたしをユキ君が冷たい目で見据えた。
「お前、行かなくていいのかよ」
「…え?」
「隼人と約束してるんだろ?」
「それは…」
そうなんだけど。
こんな状況で「じゃあ行ってきます♪」なんて言えない。