不良だらけの危険なバイトッ☆
* 過去の君は
────・・・
SIDE雪夜
その小さな手に触れると暖かくて。
人の温かさに触れたのは、いつぶりだろうか。
小さな体は必死に俺を抱きしめる。
その健気な姿は誰かに似ていて。
"お兄ちゃん"
儚いその姿と重なったのかもしれない。
「ユキ君」
そっと俺の頬に伸ばされた手は震えていて。
それでも確かに感じる感覚…。
「あたしも、知りたいの。ユキ君が苦しんでる理由を」
「……」
それは俺の心をとらえて離さない。
「知っても、莉子が苦しくなるだけだよ」
「それでも…いいから」
優しさは残酷だと思っていたのに
あたたかい。