不良だらけの危険なバイトッ☆




たった、二人の家族だった。



────・・・

約十年前。


物心ついた頃から夜の街で働く父と母は家にはほとんどいない。


ずっと独りぼっちだった。


たまに帰ったと思えば両親は喧嘩を繰り返して、家はいつだって荒れていたんだ。


一人で家にいるか、


親が喧嘩して、暴力をふるう姿を見るか、それだけの毎日。


そのまま何年の時が過ぎたのだろう。


別に幸せを味わったことのない俺はそれでも良かった。


何も思わなかった。


けれども、妹が…加奈子が生まれてからは状況が変わって。


「お兄ちゃんっ」


ほとんどの時間を二人で過ごしていたから加奈子は俺にすごく懐いていた。

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