不良だらけの危険なバイトッ☆
それでも表情は柔らかい。
以前のような荒んだ目をすることもほとんどなくて。
あたしはそれがうれしかったんだ。
「じゃあ莉子ちゃんの右側は俺のもの♪」
そう言って藤堂君があたしの右手を握る。
「わわっ//」
「そんな照れなくてもいいじゃん」
藤堂君の笑顔にたじたじのあたしをユキが無理やり引きはがす。
「おいっ、ユキ!!!」
「ユキっ?」
突然後ろからぎゅうっと抱きつくからあたしは耳まで真っ赤だ。
「行くぞ」
何事もなかったかのようにユキはあたしの手を引く。
「っえ!?ユキ」
今日から新学期だというのにユキが歩き出したのは学校とは真逆の方向。
「学校…っ!!」
「いいから」
あたしの言葉なんかまるで聞かずにユキはずんずん歩いていく。
ユキと付き合い始めてから何カ月もたっているというのにいまだに彼のペースをつかめないでいる。
もう…ユキのばか。