不良だらけの危険なバイトッ☆

そんなことをしているうちにホームに入ってきた電車が髪を大きく揺らす。


「…今日だけ。どうしても行きたい場所があるから」


不意にニコリと笑うユキにどきどきする。


きっと今のあたしの顔は真っ赤だ。


答えることができないあたしの手を引いてユキは電車に乗り込む。


そのまま電車は発車した。


…これでもう戻れない。


電車のドアの手すりにつかまって、ユキは流れていくビルを見つめている。


横顔でわかる、すこし上機嫌。


バカ…


なんて思いながらあたしはため息をついた。


いつも通りの日常。


マスターがいて、服部さんがいて、藤堂君がいて…


いつもと少し違う日常。


学校に行くはずのあたし達を乗せた電車がビルが立ち並ぶ街を抜けていく。

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