不良だらけの危険なバイトッ☆

みんなといてもほとんど笑うこともなく、常に無言のままぼーっとしていた。


ユキと入れ替わるように夜の外出も増えて、次第に顔を合わせることもなくなっていったの。


心配したけど、あたしは隼人を裏切った。


だから何も言えないまま時間だけが過ぎていった。


このカフェから消えてしまったものを、埋めることはもう誰にもできなくて…。


そして、この春…


隼人は何も言わずに


あたし達の前から姿を消した。


学校も辞めて、部屋も空っぽになっていた…。


その事実を知ったとき、あたしはもう泣くこともできなかった。


横で泣く藤堂君や肩を落とす服部さんやユキ…、マスターを見て苦しかった。


あたしがみんなから大切なものを奪ってしまったんだって。


でも、後悔してもしきれない思いに支配されてボロボロになったあたしを支えてくれたのはユキだった。


何も言わずに抱きしめていてくれたユキ。


藤堂君も"隼人は戻ってくるよ"と励ましてくれた。


ほんとは誰より責めるべきあたしを支えてくれたみんなのおかげであたしは笑えるようになってきた。


それでも…

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