不良だらけの危険なバイトッ☆
長い石段を登って、やっと着いた丘の上。
町の向こうにはさっき見ていた海がさらに遠くまで広がっているが見えた。
「…お墓参り?」
「うん」
そう言ってユキは瀬戸家と書かれたお墓の前に花束を置いた。
「ここに、加奈子が眠ってる」
ユキがなぞった石碑には加奈子さんの名前が新しく彫られていた。
優しい表情を浮かべながらユキがお墓の前で手を合わせる。
しゃがんで、目を閉じてじっと手を合わせているユキの横顔は、すごくきれいで…。
いつの間にかあたしの目からは涙がこぼれ落ちていた。
涙は風に揺られて遠くなっていく。
風になびかせた金色の髪。
振り返ったユキはまたやわらかく微笑んだ。
「実は今日が初めてなんだ」
そう言ってユキはもう一度お墓に目線を落とした。
花束についたピンクのリボンも風に揺れている。