不良だらけの危険なバイトッ☆
「ずっと…勇気がなくてさ」
そう言ってユキはまるで自嘲するような笑みを浮かべた。
「ここへ来たら、加奈子が死んだこと…認めてしまうみたいで嫌だった」
「うん」
ユキは今でも一人で苦しんでる。
そんな簡単なことじゃないよね。
一気に落ち込んだ顔を見せたあたしを見て、ユキは苦笑いする。
「また暗い顔して…いいから、見てみろよ」
ユキは崖の柵に手をかけて、反対の手をあたしの肩に回した。
ユキの視線の方向に広がる景色。
ユキの生まれ育った町が一望できる。
その向こうに海と空が交じる水平線。
心が洗われるような、切なくなるような…。
「綺麗な町だね……」
答えると同時にこらえきれなくなった涙が溢れた。
いつの間にかユキはあたしを抱きしめ、肩口に頭を預けている。
首にかかる吐息が少しだけくすぐったい。