不良だらけの危険なバイトッ☆
「もう…ユキ、かわいい」
またあたしはユキに抱きつく。
ユキはますます照れているようだった。
「……笑うなよ。ほんと俺…だせえ…。あいつらだったらもっと気のきいたこと言えるのに」
拗ねたように呟く。
そりゃあ…カフェのみんななら甘いセリフの嵐になると思うけど…。
「こういうの慣れてないのは…嫌?」
「そんなことないよっ」
それ以上に…
「今のユキが一番いいっ」
今まで背伸びしてきたユキ。
そのユキが本来の自分でいられる…
そんな彼の素顔を見れたのがすごくうれしかったから。
あたしの笑顔を見て、ユキも機嫌を直したように微笑んでくれた。
丘の上に吹く風に吹かれて…
その向こうにずっと続く空へ。
ここより遠く、遥か彼方で誰かが微笑んでくれた気がした。