不良だらけの危険なバイトッ☆
「……っ」
苦しそうな表情が見える。
そのままユキは隼人の前で立ち止まった。
壁に手をつきながら、息を荒ませる。
「よく俺の言うこと聞いたな」
「…っはぁ…別に」
隼人の挑発に、ユキは目を反らした。
どうして…ユキがここに?
横にいる隼人は企んだように、口角を上げている。
何も知らないのはあたしだけなのかもしれない。
二人に動揺するそぶりはない。
そのままの沈黙。
隼人は腕を組んで、フェンスに寄っかかった。
「さすがにつれねえな。……ま、莉子を奪われるその瞬間、ちゃんと見とけよ」
残酷な笑顔。
「……」
嫌な空気だけが流れている。
「だからせいぜい泣けばいい、最後のお別れの言葉とかな」
そう言ってユキの方に、背中を押された。
「え?……っきゃ!!!」
バランスを崩したあたしを、ユキが抱き留める。