不良だらけの危険なバイトッ☆
「ごめんっ」
「…っ…大丈夫か?」
「う、…うん」
顔を上げると、ユキが優しく笑う。
笑ってる余裕なんて…ないくせに…。
ユキの吐息が鮮明に聞こえる。
ユキは涙ぐむあたしのことを、ぎゅっと抱きしめた。
その腕の強さに、瞳の奥が熱くなる。
これが最後だと、わかっているから…
もう、言葉を確かめ合う余裕なんてなかった。
「莉子…」
ユキがあたしの名前を呼んだ。
苦しそうな表情を浮かべた彼の瞳が、切なげに揺れる。
「ユキ…?」
でもユキの目に映っているのは、あたしじゃなかった。
そこに見えたのは、向こう側にいる、
……隼人?
────・・・
ユキの赤い瞳が映し出したのは…
見たことのない、隼人(かれ)だった。
────・・・
「時間だ」