純血のヴァンパイア
あ―――もう、ダメ。

そっと首筋に、唇を近づけ紅い筋を舐める。


久しぶりに味わう、血の味。

足りない。もっと―――


プツッと音を立てて、牙を首筋に立てる。

渇きを癒すかのように、本能のまま血を啜る。




「―――っあ…はぁっ―――」

燐の漏れ出た声に、ハッと我に戻る。

気が付くと、燐の息があがっていた。


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