純血のヴァンパイア
「――ん―――っ」

一瞬、雪兎の声が聞こえた。

目が覚めた?!

「雪兎?!」

「俺、麻子さん呼んで来るっ」

燐が病室を飛び出した後、私は雪兎の手を握りしめ

顔を覗き込んだ。


何度か指先が動き、目がゆっくりと開いていく。

焦点が定まらない瞳が、次第に私を捉える。

「雪兎?」


「君は―――誰?」




え――――私の事が分からない?

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