純血のヴァンパイア
大鎌を振り回し、襲ってきたヴァンパイアと

後方に隠れていたヴァンパイア、両方を一度に粛清した。


大鎌のザンッという音と、ヴァンパイアの断末魔が公園に響き渡る。


はぁ…はぁ…はぁ…

『優月。』

前方に潜んでいたヴァンパイアも始末したのか漆黒の狼が姿を現す。


「優ぅ――っ」

そこへ、燐が焦ったように走ってきた。


パーーーーンッ

私の右手が、燐の頬を強く引っ叩く。

「なんで、なんで目を離したの!!」

「ゴメン。麻子さんと話してて…気付くのが遅れた。」

叩かれた頬を手で押さえながら、シュンと肩を落とす。


「雪兎に何かあったら、どうするつもりだったの?」

下唇を強く噛んで震えるのを我慢した。

「もういい。雪兎を連れて行って。」



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