純血のヴァンパイア
「なぜだ。人間界で何がお前をそのようにしたのだ?」

王の問いに、私は目を伏せ雪兎への思いを言葉にした。


「私は……雪兎が好きです。人間とかヴァンパイアとか関係なく。彼を1人の男として、愛しています。」


お父様もお母様も。目を大きく見開き驚きを隠せないようだ。

私だって、昨日思い知った。


「私は、雪兎と離れたくないんです。」

「それは、お前の我儘だ。同胞たちがそれを許すとでも?」

「許さなくても、彼は私が守ります。この命を掛けてでも。」



「分かっているのか?お前は次期当主なんだぞ?」

「例え、権利を放棄する事になっても……構いません。」

不思議と、心は穏やかだった。


「その言葉に、嘘はないな?」

私は、静かに頷いた。


「そうか、分かった。」
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