純血のヴァンパイア
『優月。悪いが、急いで帰って来てくれ。』

頭に直接、蓮の声が響く。

それは、いつもの落ち着いた声ではなく

少し焦っているような、慌てているような声だった。



「雪兎、ゴメン。何かあったみたい。」

「え?」

「今、蓮から急いで帰って来いって言われたの。なんか凄く慌ててるみたい。」

「一緒に行こうか?」

私は、首を横に振って「大丈夫」と微笑んで見せた。


「燐。」

声を掛けるだけで、燐には分かっていたようで

帰り支度は既に出来ていた。


「また明日、来るね。」

手を振りながら、そう言って病室を後にした。
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