純血のヴァンパイア
後ろに控えていた燐が変身を解いて、すかさず女を羽交い締めにする。

「バカだなぁ。欲を出さずに素直に従っていればいいのに。」

「離せ、湊の犬がぁ」


ウア゙ッ

小さなうめき声が漏れる。

「立ち去れ、と言ったはずだけど?」

後ろに居るはずの女には目を向けず、背中を向けたまま冷たい声音でいう。


「お願い助けて。もう、しないから」

懇願する女。

その声は、少し震えている。

それもそのはず、彼女の身体には既に大鎌の刃が刺さっていたのだから。


でも、許してあげない。

彼女はもう、血を求めるだけの堕落者、ディジェネレート。

このまま放っておけば、第二第三の彼のような被害者が出る。

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