純血のヴァンパイア
粛清したとはいえ、同じヴァンパイア。

血に飢え、自我を失えば誰でも、ディジェネレートに落ちてしまう。

二度と、こういうヴァンパイアを出したくない。

それと同時に、彼の様な被害者を出さないようにしなくては。


人間との共存

それが、父の、王の理念だ――――


『優月、彼どうする?』

蓮は狼の姿のまま、まだジッと闇の中で今のやり取りを見ていた青年に目を移す。

「怖い思いをさせて、ごめんなさい。」

恐怖の所為か、青白い顔をして小刻みに全身が震えている。

その震えが少しでも収まるように、そっと彼の頭を抱きしめるように包む。

最初、ビクッと強張らせていたが

だんだん落ち着いてきたのか、暫くするとスッと力が抜けた。
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