純血のヴァンパイア
「君は、誰?・・・君もヴァンパイア?」

戸惑い瞳を揺らしながらも、彼は私から目を離さない。

栗色の綺麗な瞳。


「私は優月。大丈夫、もう怖い事はないわ・・・ゆっくり眠って。」

彼の質問に答える必要はない。


だって、今日の記憶は消してしまうんだもの。

知る必要はないわ。


私は微笑み、彼の額に掌をかざし、ゆっくりと瞼を降ろすように顔を擦った。

「ちょっと、まっ・・・」

彼が何か言おうとしたけど、言い終わらないうちに体がグラッと後ろに倒れ込んだ。

それを待っていたように、燐が彼の体を抱きとめてくれる。

「記憶、消したの?」

「うん。恐ろしい記憶なんて消した方がいいもの。燐、後の事はお願いね。」

分かった、というと彼を軽々と持ち上げた。

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