純血のヴァンパイア
消すはずだった、と言うのは―――

今は麻子さんは全てを知った上でココにいるから。

もちろん僕達がヴァンパイアだと言う事も。


僕が一時的に優月の記憶を失くして

夜に、病院を抜け出した時

麻子さんも、病院の周辺を捜してくれていたらしい。

その時偶然にも公園に探しに来たらしい。

そこで、優月達が人間ではない事を知った。

でもそれを知っていても、変わらずに燐達に接して来ていた。

燐から聞いた話だと、僕達が急に姿を消し拉致された時も

身内のように、かなり心配していたらしい。

そんな麻子さんの事を、燐はいつの間にか好きになっていて

今では、燐と麻子さんは付き合っていたりする。


本来、人間に余計な記憶を持たす事は危険とされていて

ヴァンパイアに覚醒してからは、病院関係者の記憶を消し

僕が入院していた事実は無かった事にしてある。

けれど麻子さんだけは、長年お世話になった人だし

燐の大切な人だし、特別にお許しが出たのだ。
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