純血のヴァンパイア
「みんな部屋に入って寝たみたい。」

「そっか。」

「悪かったなぁ。僕を元気づける為に、わざわざこんな遠くまで。」

「雪兎が笑っていてくれたら、それで良いと思う。
 きっとみんな、雪兎が泣いていないか、寂しい想いをしていないか
 心配していたんだと思うから。」


「優月……」

僕は、そっと隣に座る優月の肩を抱き締めた。

ほんと、彼女には勝てないなぁ。


「あ、そうだ。昼間、何か言おうとしてなかった?」

「あ―――――」

別に忘れていた訳じゃなかったけど

燐達が来て、タイミングを失っていた。


「コレ、君に受け取って貰いたくて。」

ずっと大切にポケットに入れておいた小箱を

優月に渡した。
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