純血のヴァンパイア
寝てしまったものは、仕方ないか。

カーテン越しに、ベッドに寝ている雪兎に視線を戻す。

雪兎は、何かの病気なんだろうか。

「気になるの?」

「は、い…彼は、何か病気なんですか?」

生気を分けた時、少しだけ記憶の様なものが流れてきていた。

それは、ずっと暗い病院のようなところに、一人でいる姿だった。

「守秘義務があるから、詳しい事は言えないけど…彼は幼い頃から身体が弱くて、時々今日のように倒れてしまったりするの。」



幼い頃から、ずっと・・・。

苦しそうに咳き込んでいた・・・あんな状態が何年もだなんて。

あの記憶は、その一片なのか。

「良かったら、これからクラスメイトとして気にかけてあげてね。」

優しい先生の声が耳に残る。
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