純血のヴァンパイア
俺が本に手を掛けた瞬間、背中がゾクゾクとした悪寒が走った。
『興味がおありですか?』
「え?」
不意に声を掛けられ後ろを振り向くと、いつの間にいたのか
白銀の長い髪を後ろで束ねた、40代位の男性が立っていた。
「あなたは…?」
『そんな本より、私がお教えしましょうか?霧生雪兎殿。』
なんで、僕の名前―――
コイツ、あの時の女ヴァンパイアと同じ感じがする。
ヤバイ―――
助けを呼ぼうとしたけど
不思議な事に、さっきまでいたはずの受付の事務員も
学生の姿も居なくなっていた。