ペンネームはKとM
静かに、
ほんと静かに涙が頬を伝った。
「これがリディアっていうわけじゃなくてさ」
「…うん」
「どれもリディアであって、どれもリディアじゃなくて」
「…うん」
「うまく言えないんだけど」
参ったなという風に頭をかくマサ君。
私が泣いて困っているんじゃない。
マサ君なら分かるはず。
「俺、ヤコさんの考えてることなら、なんでも分かるから」
「私が寂しかったのも?」
目に涙を浮かべて詰問してみる。
ちょっと意地悪してみた。
二ヶ月分の腹いせ。
こんなもんじゃ足りないんだけど、そんなもんじゃ敵わないものがきた。
「これ」
「これ」
おうむ返しで受け取ったのは、
指輪だった。