花火前線

「…っ」


先輩は捨てるように傘を投げると

私の体を自分の方へと引き寄せた。


「え…っ」


突然の出来事に混乱していた私だが

先輩はただ黙って私を抱きしめてくれていた。

その伝わりにくい優しさに

私の涙はますます零れるばかりだった。

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