【完】白のあなたに恋をする





「白…」


私は急に何かに突き落とされたように不安になって、

すがるように白のブレザーの裾をひっぱった。


「あぁ、悪い。杏、こいつ俺の同中。」


「同中…」


と、いうことは二人は同級生なのかな…?


「ほらーっ!白くんがちゃんと説明しないから彼女、理解できないじゃーんっ!
もぉ、相変わらずだなぁっ。」


相変わらず…。


その言葉がちくっと私のなにかに刺さった。


そんな私の気持ちも知らないで、唯さんは私の顔を覗いた。


「こんにちわっ!白くんの彼女さん!私、篠原 唯(シノハラユイ)っていいます!宜しくねっ?」


「え、えと、黒瀬 杏です…。」


唯さんは私の手をとって、もう一度、
よろしくっ、と私の手をぶんぶんと振った。


本当に元気な子だなぁ…と私は思った。



「え~とっ、何から説明すればいいかな?えと、白くんと私は中学三年間同じクラスで、わりと話してたんだぁ~っ」


話してた…。

白、は、中学時代は話す子だったのかな…?




< 273 / 415 >

この作品をシェア

pagetop