【完】白のあなたに恋をする
【白side】
………杏…?
今なんか…。
いや、気のせいか…。
さっきの杏のあの不安でたまらないような顔が頭から離れない。
そうだ…、早く杏に会ってあとで抱き締めてやろう。
「白くん…、今、杏ちゃんのこと考えてたでしょ…?」
はっ、と我にかえると、
唯は俺の顔を除きこんで、やっぱりと言わんばかりな顔をした。
唯に連れてこられた場所は二階の空き教室。
普段ここはあまり人が来ない。
つまり、唯がここにつれてきたってことは、よっぽど他人に聞かれたくない話なんだろう。
あぁー…、杏に会いてえ…。
さっさと済ませよう…。
「…で?話ってなに?」
俺は窓の近くに投げ出されるようにして置いてあるボロ机に座った。