【完】白のあなたに恋をする





___……杏が好きなんだ。」










そう…はっきりと聞こえるように伝えた。


「白っ…うっ…。なんでっ…。
その女じゃなきゃ…っダメなのよぉっ…」


「あぁ…、俺は杏じゃなきゃダメ…なんだろうな…。

杏は、俺がどれだけ逃げてもどれだけ突き放しても、バカみたいに追いかけてくれた…。

追いかけてくれたからだけじゃない。


杏と居ると…心が落ち着くんだ。

言葉を交わす会話なんてしなくても、

そばにいるだけで俺は幸せなんだ…。

杏がいるだけで、俺の心は暖かくなる…。


…唯みたいに俺なんかを好きになってくれることは、自分の自信に繋がって…とてもありがたいことだと思ってる…。


でも、それが杏が傷つく結果になるなら、俺は切り捨てる。


杏が俺から離れていくのだけはダメなんだ…。ダメなんだよ…。」



俺は…最低な男だな…。


きっと杏が俺から離れたいと願っても、絶対に認めないし、どんな手でも使ってしまうんだろう…。


唯みたいに…。


お前の気持ちがわかったよ…。
でも…



「ごめん____…」



俺はそう、唯に言い放った。








< 369 / 415 >

この作品をシェア

pagetop