【完】白のあなたに恋をする
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黒瀬 杏へ
杏がこの手紙を読んでいるということは
きっと、俺はそういうことなんだろう。
杏、覚えてるか…?
あの日、俺たちが初めて会った、
あの屋上でのこと。
最初、杏に会ったとき、
確か俺は関わるなって言って、線を張ったんだ。
でも、どうも杏といると調子が狂って、結局、俺はお前に惹かれていった。
なんでだろうな?
確かに杏は可愛いし、優しいし、ひとつひとつが愛おしい。
…だけど、俺が惹かれたのはそれじゃないんだと思う…。
…お前は俺の髪は綺麗だ、と言ってくれた。
俺は正直、この髪は忌々しい病気に関係してるから、憎くて仕方がなかった。
だけど、いつか…
いつかこの憎くくてたまらない病気を治すためにこの"白髪"はそのままにしてきたんだ。
だから、他の奴らは周りとは違う俺のことを近づこうとしなかったし、
俺も近づこうとはしなかった。
…中学のとき、それはいっそう強くなった…。
俺の小さな世界には、誰一人
杏が言ってくれた言葉を口にしなかった。
俺の髪は " 綺麗だ " なんて……。